飲食店の集客で成果を出す方法と、支援を必要とする店の見つけ方
多くの飲食店オーナーには、マーケティング専任のスタッフも時間もありません。実際に来店につながる施策と、フリーランスや代理店がGoogleマップから支援先のリストを短時間で作る方法を、日本の事情に合わせて整理します。
代理店
·
·
約9分で読めます
この記事のポイント
- 飲食店の集客はGoogleから始まります。営業時間、メニュー、写真、予約・注文のリンクを整えたビジネスプロフィールが、広告やSNSより先に最初の役割を果たします
- Googleのローカル検索は関連性、距離、知名度で決まり、クチコミの数と評価は知名度に効きます。クチコミと引き換えの割引や特典は禁止です
- 広告と分からない形で事業者が出させたクチコミは、令和5年(2023年)10月1日から景品表示法のステマ規制の対象になりえます
- 広告メールは特定電子メール法のオプトインが原則で、営業用アドレスを公表している事業者などに例外があります。送信者名と受信拒否の方法の表示は必要です
- 評価、クチコミ数、Webサイト、注文リンクで絞ったGoogleマップのリストを使えば、どの飲食店が支援を必要としているかを最初の連絡の前に把握できます
飲食店の集客とは、新規のお客様に来店してもらい、常連に再来店してもらうために飲食店が行うすべての活動です。個人店がまず着手すべきなのは、空腹の人がすでに検索している場所、つまりGoogleビジネスプロフィール、クチコミ、メニューと予約・注文のリンクを整えることです。広告やSNSは、その土台ができてから活用します。
土台
飲食店の集客は、なぜGoogle検索とGoogleマップから始めるべきなのですか?
「新宿 ランチ」や「近くの居酒屋」と検索した人は、すでに今日どこで食べるかを決めようとしています。その人が最初に目にするのがGoogleビジネスプロフィールだからです。InstagramやLINEなどは興味を持ってもらう役割が中心で、最後の決め手になるのはプロフィールです。
Googleは、ローカル検索結果のランキングを改善するヒントで、ローカル検索結果は主に関連性、距離、知名度に基づいて表示されると説明しています。関連性は検索語句とプロフィールが合致する度合い、距離は検索した人から店までの距離、知名度はビジネスがどれだけ広く知られているかを指します。知名度は、リンクしているウェブサイトの数やクチコミの数にも基づき、クチコミ数が多く評価の高い店は順位が高くなるとされています。また、ビジネス情報が充実していて正確なほど、ローカル検索結果に表示される可能性が高くなります。
飲食店にとって「充実している」は具体的です。Googleの飲食店向けスタートガイドでは、メニュー(セクション、料理、説明、価格)、プロフィールからのオンライン注文、予約と順番待ち、内装・外装・料理の写真と動画、ビジネスの属性、特典やイベントの投稿、そして検索、メニューのクリック、予約数といった指標の確認までが手順として示されています。どれも数分で点検でき、1日あれば直せる項目です。なお、オンライン注文や予約の機能は、国や地域、連携する事業者によって使えるかどうかが異なるため、実際の店のプロフィールで確認してください。
食べログやぐるなび、ホットペッパーグルメなどのグルメポータルに掲載していても、Googleのプロフィールは別に管理する必要があります。ポータルの情報とGoogleの情報が食い違うと、営業時間や定休日を信じて来店したお客様が閉まった店の前に立つことになります。その店自身のプロフィールを見せれば、オーナーに課題は伝わります。
チャネル
飲食店の集客チャネルのうち、重要なのはどれで、課題はどこに見えますか?
個人店が必要とする集客チャネルは7つに整理でき、そのうち4つはGoogleマップの一覧やプロフィールに課題の痕跡がはっきり出ます。この痕跡があるため、勘に頼らず連絡すべき店を選べます。下の表は、各チャネルの役割と、リストから課題を見つけられるかをまとめたものです。
プロフィールやクチコミが弱いまま広告を出すと、来訪者は転換しないページに着き、オーナーは広告のせいにします。土台を整えてから、ほかの施策を足してください。なお、混同されやすい用語は、GoogleマップとGoogleビジネスプロフィールの違いで整理しています。
クチコミ
飲食店は、ルールを守ってGoogleのクチコミを増やすにはどうすればよいですか?
すべてのお客様にお願いし、書く手間を減らし、届いたクチコミにすべて返信します。これだけでルールの範囲内で増やせます。許されないのは、クチコミに対価を払うことで、割引や特典も含まれます。
Googleのクチコミを増やすためのヒントには、Googleのリンクへ誘導するか、QRコードを読み取ってもらうよう依頼できること、そして顧客のフィードバックを重視していることを示すためにクチコミへ返信することが書かれています。同じページには禁止事項も明記されています。クチコミの投稿、変更、否定的なクチコミの削除と引き換えに、無料または割引価格の商品やサービスを提供することは、虚偽のエンゲージメントとして固く禁じられています。
実務では、特典に触れない次の流れで運用できます。
- クチコミ用のリンクとQRコードを用意します。プロフィールのリンクまたはQRコードの機能を使い、お客様が投稿画面に直接着くようにします。
- お客様がすでに目にする場所に置きます。レシート、卓上のカード、テイクアウトの袋、予約や注文の後に送るお礼のメッセージが候補です。
- スタッフから一言添えてもらいます。会計時の「よろしければ感想を書いていただけると励みになります」の一言は、貼り紙よりも効きます。
- 数日以内に返信します。Googleは、返信を簡潔に、丁寧かつプロフェッショナルに書くこと、返信に名前またはイニシャルを添えると信頼性が高まることを案内しています。否定的なクチコミでは、個人情報を出さず、個人攻撃を避けます。
- 不満を改善に変えます。配達の遅さを指摘するクチコミが3件続くなら、課題はマーケティングではなくオペレーションです。
日本では、景品表示法のステルスマーケティング規制も押さえてください。消費者庁のステルスマーケティングに関するページは、広告であるにもかかわらず広告であることを隠すことをステルスマーケティングと説明し、令和5年10月1日から景品表示法違反となるとしています。規制の対象は、一般消費者が広告であることを分からない広告で、インターネット上のSNS投稿やレビュー投稿も含まれ、事業者が第三者に依頼や指示をして出させるものも広告に含まれます。規制を受けるのは広告主である事業者で、個人の感想のように広告でないものは対象外です。代理店が店のために自作自演のクチコミを書くような運用は、Googleの規約の面でも景品表示法の面でも避けてください。
代理店にとって、クチコミ対応は説明しやすく報告しやすい継続サービスです。提案前にその店のクチコミを読む理由にもなります。否定的なクチコミのある店を探す方法では、読んだ内容を、一般的な営業文ではなく具体的な最初の一通に変える手順を紹介しています。
市場
個人経営の飲食店は、なぜフリーランスや代理店にとって狙い目なのですか?
個人店では、店主が調理、仕入れ、シフト管理、集客を兼ねていることが多く、プロフィールの更新やクチコミの返信まで手が回らない店が少なくないためです。専任のマーケティング担当者がいない店ほど、決まった月額の範囲で任せられる相手を必要とします。
買い手は、料理には自信があるが、プロフィール、返信、予約や注文のリンクを整える時間がない店主です。意思決定も早く、稟議や委員会はありません。電話、メール、来店のいずれでも、本人に直接届きます。
Googleの飲食店向けスタートガイドには、祝日や特別なイベントのために特別営業時間を設定する手順があります。年末年始、お盆、ゴールデンウィークといった時期の営業時間がプロフィールに反映されているかは、外から確認できる分かりやすい点検項目です。
一方で、店主は支出に慎重なことが多いので、大きな約束は避けてください。プロフィールの整備とクチコミの運用のような、成果が見える小さな範囲から始め、電話やルート検索が増えたのを確認してから広げるのが現実的です。リスト作りから営業までの全体像は、代理店のリード獲得で、飲食店に絞ったメールリストの作り方は飲食店のメールリストで解説しています。
リスト作成
集客に課題のある飲食店のリストは、どのように作りますか?
エリアとジャンルを決めてGoogleマップから飲食店を取り込み、課題が見える店だけに絞ります。作業は5つの手順で、価値が出るのは絞り込みの部分です。
- 対象を絞ります。1つのエリアに1つのジャンルが目安です。たとえば「大阪市北区の居酒屋」「渋谷区のイタリアン」「福岡市中央区のラーメン店」のように、範囲を狭くします。狭いほど、1店ごとの観察を具体的に書けます。
- Googleマップで検索し、スクロールに合わせてVonsel拡張機能に結果を取り込ませます。店名、住所、電話番号、Webサイト、評価、クチコミ数が手に入ります。画面での取り込みの様子は、チュートリアル動画をご覧ください。
- 課題で絞り込みます。クチコミ数が少ない、評価が4.0未満、Webサイトがない、プロフィールにメニューや予約・注文のリンクがない店を残します。
- 上位の店のプロフィールを開きます。写真、営業時間、最近のクチコミを確認し、1店につき具体的な観察を1つ書き留めます。
- その観察を添えてオーナーに連絡します。「集客のお手伝いをしています」ではなく、「Googleのメニューのリンクが、開けないページにつながっています」と伝えます。
拡張機能は取り込みのためのツールです。Vonselのダッシュボードでは、同じ飲食店を地図付きCRMに載せ、お客様が繰り返し触れる話題を抽出するReviews Intelligenceと、その文脈を使って店ごとにAIがメール文面を下書きするEmail Intelligenceを使えます。無料の拡張機能に加えて何ができるかは、料金ページで確認できます。地元の店を探す一般的な考え方は地元の企業を見つける方法も参考になります。
たとえば、クチコミが40件で評価が3.7、メニューのリンクが開かない店は、「見込みのない相手」ではありません。「実際に見てから連絡しました」と一文で証明できる、会話の入口です。
見極め
有望な飲食店と、見送るべき飲食店は、どこで見分けますか?
有望な店には、直せる課題があり、店主が経営に関心を持っている形跡があります。すでにきちんと運営されている店は見送ります。下の基準は目安なので、エリアやジャンルに合わせて調整してください。
プロフィールの課題
Webサイト、メニュー、予約・注文のリンクがない、営業時間が怪しいなど。見せやすく、直しやすい課題です。
返信のないクチコミ
料理は好評なのに、コメントへの返信がたまっている店です。店主に熱意はあるが時間がない状態で、継続契約に最も向いています。
開業して間もない店
新店は早く認知が必要で、まだ支援先を決めていません。クチコミの日付で開業時期の見当がつきます。
大手チェーン
マーケティングは本部が決め、代理店も入っています。ただしフランチャイズの1店舗は例外なので、運営会社を確認します。
近道が2つあります。Webサイトのない店は、サイトとプロフィールの提案に最も反応しやすいリストです。探し方はウェブサイトを持たない企業の探し方にまとめています。注文リンクのない店は、また別の提案になります。
提案
飲食店のオーナーに連絡するときは、何を伝えればよいですか?
見つけた課題を1つ挙げ、それが何を損ねているかを示し、小さな裏付けを1つ添えます。営業中の店主は机に座る時間がないので、スマートフォンで読める長さに収めてください。
1行目で見つけたこと(「Googleのプロフィールの注文ボタンがエラーになっています」)、2行目でなぜ重要か(「ボタンを押した方は離脱してしまいます」)、3行目で無料の簡易診断などの提案を書くだけです。手段はメールでも電話でも訪問でも構いません。文面の型はコールドメールのテンプレートが参考になります。電話をかけるなら、店が忙しいランチやディナーの時間帯を避け、営業時間を尊重するのが基本です。電話のルールはコールドコールのルールで解説しています。
まとまった数のメールを送るなら、法律を確認してください。総務省の特定電子メール法のポイントによると、広告宣伝メールは原則としてあらかじめ同意した相手にだけ送れる「オプトイン方式」で、SMSも対象です。例外として、取引関係にある相手、名刺などでアドレスを知らせてくれた相手、そして自己のメールアドレスをインターネットで公表している事業者(個人の場合は営業を営む場合に限る)が挙げられています。ただし、公表と併せて広告宣伝メールを送らないよう求めている場合は、同意なしに送れません。下の表に要点をまとめます。
パッケージ
飲食店向けの集客支援パッケージには、何を含めるべきですか?
よい提案は、短い初期設定の期間と、毎月の定型作業で構成し、それぞれにオーナーが目で見て分かる成果物を付けます。今週から始められるサイズに収めてください。
- 初期設定:プロフィールの登録と確認、店名・住所・電話・営業時間の修正、カテゴリと属性の選定、メニュー、予約、注文のリンクの追加。
- 写真:店主やカメラマン向けの撮影リストの作成、アップロードと整理。
- クチコミ:クチコミ用リンクとQRコードの作成、返信ルールの作成、新着クチコミへの毎週の返信。
- 投稿と更新:季節のメニュー、イベント、年末年始やお盆の営業時間を最新に保つ。
- レポート:Googleが提供する指標を使い、検索数、メニューのクリック、予約数を月次の1枚にまとめる。
順位や売上は約束せず、約束するのは作業と報告だけにします。範囲を決めて、含まれる内容をオーナーに正確に伝えてください。そのうえで、最初のレポートを使い、Webサイトの刷新、LINEやメールの会員リスト、小さな広告テストといった次の提案につなげます。
落とし穴
飲食店の集客支援が失敗するのは、どんなときですか?
失敗の多くは、土台を飛ばすか、約束しすぎることから生まれます。典型は次の4つです。
- プロフィールを直す前に広告を出す。営業時間が違う、メニューのリンクが死んでいるページに来訪者が着き、予算が無駄になります。
- 特典でクチコミを集める。Googleの規約に違反し、育てているはずのプロフィールを傷めかねません。
- 汎用的な営業連絡。「飲食店の集客をお手伝いします」は読まれずに消えます。その店のプロフィールに触れた連絡なら返事が来ます。
- 報告をしない。オーナーが変化を見られなければ、継続契約は最初に削られる費用になります。