広告代理店 CRMとは、代理店の売上を支える2つの流れを管理する顧客管理ツールです。1つは見込み客を契約へ進める新規開拓、もう1つは更新と追加提案につながる既存顧客との関係です。良い広告代理店 CRMは、画面が簡単で、導入初日から自社の対象エリアの見込み客が入っています。
広告代理店 CRMに求められるのは、新規開拓と既存顧客対応という2本のパイプラインを同時に回せることです。重要なステージと項目、日本で守るべきメールのルール、そして見込み客が入った状態でCRMを使い始める方法をまとめました。
広告代理店 CRMとは、代理店の売上を支える2つの流れを管理する顧客管理ツールです。1つは見込み客を契約へ進める新規開拓、もう1つは更新と追加提案につながる既存顧客との関係です。良い広告代理店 CRMは、画面が簡単で、導入初日から自社の対象エリアの見込み客が入っています。
広告代理店向けのCRMとは、代理店の収益の形に合わせて使うCRMのことです。代理店は、アウトバウンドや紹介で数十社の顧客を獲得し、顧問契約や案件で関係を続けます。小さな注文を何千件も追う業態と違って、取引金額の大きさより、人、会話、連絡のタイミングを正確に残せることが重要です。
CRMの基本的な考え方は新しいものではありません。日本語版ウィキペディアは、顧客関係管理(CRM)を、顧客や市場から集めた情報を一元化し、売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略・手法と説明しています。CRMシステムは、ウェブサイト、電話、電子メール、ライブチャット、ソーシャルメディアなどの経路からデータを集めるとも書かれています。代理店にとっては、顧客を見つけ、つなぎ止めるときに使う経路そのものです。
「代理店」と言っても幅は広く、広告運用、制作会社、Web制作、SEO、PR、採用支援、不動産や保険の代理店まで含まれます。この記事では、地域の中小企業や店舗に提案する制作会社・広告代理店を想定していますが、構造はほかの業種にも当てはまります。
一般的なCRMとの大きな違いは、2本のパイプラインを持つことです。1本目は新規開拓で、まだ自社を知らない会社が契約へ進む流れです。2本目はアカウント管理で、既存顧客、更新、追加提案を扱います。「広告代理店 CRM」で上位に出る記事の多くは2本目向けのツール比較です。1本目をどう埋めるかを説明する記事は少なく、CRMが止まりがちなのもここです。
確認したいのは6つです。特に最初の2つが、導入判断を左右することが多くなります。ツールを比べるときのチェックリストとして使ってください。
| 必要なもの | 代理店にとって必要な理由 | 確認すること |
|---|---|---|
| 2本のパイプライン | 新規と既存では、進むステージが違います | ボード、タグ、ビューのいずれかで分けられるか |
| 流入元の記録 | どの経路から顧客が生まれたかを知る必要があります | 絞り込みや集計ができる「流入元」項目があるか |
| フォローアップの通知 | 受注までに何度もやり取りが必要になることが多いためです | 次のアクションの日付と、カレンダーまたはタスク表示があるか |
| 軽い操作性 | 少人数のチームは管理作業に時間を割けません | 新しいメンバーが、その日の午後に使い始められるか |
| 地域別の表示 | 地域の事業者に提案する代理店は、市区町村と業種で動きます | 地図上の見込み客表示と、エリアでの絞り込みがあるか |
| 制作への引き継ぎ | 受注した後は、制作担当が顧客に向き合うことになります | アカウントに紐づくメモと連絡先を残せるか |
見落としやすいのは、請求書の発行、工数管理、タスクボードが入っていないことです。これらは代理店にとって大切ですが、本来は制作・進行管理のツールの役割です。何でも入りのCRMは、営業の部分が中途半端になりがちです。CRMは関係づくりに、進行管理ツールは納品に使い、受注した時点できれいに引き継ぐ形をおすすめします。
新しく入れたCRMは空で、空のCRMからは受注が生まれません。対象企業が少ないわけではありません。総務省・経済産業省の令和3年経済センサス‐活動調査(産業横断的集計)によると、2021年6月1日現在の企業等の数は368万4049企業です。業種別に見ても、足りないのは企業の数ではなく、自社の提案に合い、連絡先まで分かる絞り込まれたリストです。
下の表は、同じ調査から、代理店が提案先にしやすい業種の企業等数を抜き出したものです。「提案例」の列は、数字ではなく考え方の例です。
| 業種(産業大分類) | 企業等数(2021年6月1日) | 提案しやすいサービスの例 |
|---|---|---|
| 宿泊業,飲食サービス業 | 426,575 | Googleマップの口コミ対策、予約導線の改善、ウェブサイト制作 |
| 建設業 | 426,155 | 施工事例ページの制作、地域名での検索対策、採用サイト |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 334,668 | 新規来店を増やす広告運用、予約ページの改善 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 328,329 | 物件ページの改善、リスティング広告の運用 |
| 医療,福祉 | 298,517 | ウェブサイトの改善、口コミの管理、採用広報 |
業種が決まったら、Googleマップは最も取りかかりやすい起点になります。地域の事業者が、業種と場所で整理されているためです。「札幌市 美容室」「福岡市 歯科医院」「名古屋市 工務店」のように検索すると、まさに提案したい相手が並びます。これを再現できる手順でCRMのレコードに変える方法は、次のとおりです。
実際に試す前に取得の様子を確認したい場合は、スクレイパーのページにある動画チュートリアルをご覧ください。6番のチャネルやメッセージの考え方は、マーケティング代理店が顧客を獲得する方法で詳しく説明しています。ウェブサイトを持たない事業者に絞るなら、ウェブサイトのない事業者の探し方も参考になります。
ステージは6つで足ります。各ステージに「次へ進む条件」を1つずつ決めておくと、チームの2人が同じ事業者を同じ列に入れるようになります。
| ステージ | 意味 | 次へ進む条件 |
|---|---|---|
| 1. 見込み客 | 自社の業種と地域に合うが、まだ連絡していない | 担当者名または直接連絡できる経路がある |
| 2. 連絡済み | 最初のメッセージを送った、または電話した | 返信がある |
| 3. 会話中 | 相手の課題について双方向で話している | オンライン面談か訪問に同意した |
| 4. 提案中 | 範囲と金額を送った | 承諾、辞退、保留のいずれかの返事がある |
| 5. 受注 | 合意し、着手できる | 制作・運用の担当に引き継いだ |
| 6. 失注・保留 | 合わない、または今ではない | 再連絡の日付を入れた |
失注を捨てないでください。「今期は難しい」と答えた会社は、次の期の見込み客です。再連絡の日付を入れておけば、止まった案件が将来の会話につながります。各ステージの終了条件や転換率の見方は、営業パイプラインのガイドで詳しく扱っています。
項目は少なく、そして毎回必ず埋めるものに絞ります。まず次の9項目から始め、実際の判断に必要になったときだけ追加してください。
Vonselでは、事業者を地図上に表示し、ステージごとに整理し、詳細を編集できます。カンバン、カレンダー、メモ、アクション、タグ、カスタムフィールドも使えます。これらの項目はCRMの中に保存されます。項目の質は元のリストの質に左右されるため、リストの作り方もあわせて確認してください。
営業メールは、法律上の自由地帯ではありません。日本では、広告宣伝のために送られる電子メールに特定電子メール法が適用されます。総務省の解説によると、この法律は同意を得ずに広告宣伝メールを送る際の規定を定めたもので、同意した相手以外への送信禁止、送信者名と配信停止先の表示、送信者情報の偽装禁止などが決められています。以下は一般的な情報であり、法的助言ではありません。
総務省のパンフレット(2018年7月)を整理すると、CRMに関係する要点は次のとおりです。
| 場面 | ルール | CRMに残しておくこと |
|---|---|---|
| 原則 | あらかじめ同意した相手にだけ広告宣伝メールを送れます(オプトイン) | 同意を得た日時と方法 |
| 例外:取引関係・名刺 | 取引関係にある相手や、名刺などの書面でアドレスを通知した相手には、同意なしに送れます | 名刺交換の日付と場面 |
| 例外:公表アドレス | アドレスをインターネットで公表している団体や、営業を営む個人には送れます。広告宣伝メールを送らないよう求める旨の公表があれば不可です | アドレスの取得元URLと、拒否表示の有無の確認 |
| 表示義務 | 送信者の氏名または名称、受信拒否の通知先、送信者の住所、苦情・問合せ先を表示します | メールテンプレートに固定で入れる |
| 受信拒否 | 拒否の通知を受けたら、以後は送信できません | 拒否の日付。リストから除外するフラグ |
| 同意の記録 | 記録の保存期間は、最後に広告宣伝メールを送った日から1か月です | 同意の取得状況の記録 |
罰則も確認しておきましょう。同じパンフレットによれば、送信者情報を偽って送信した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金で、法人にはさらに3000万円以下の罰金が定められています。同意の記録義務に違反して命令を受け、従わなかった場合は、100万円以下の罰金です。
注意点が2つあります。第1に、パンフレットが扱うのは電子メールとSMSの広告宣伝です。電話、問い合わせフォーム、FAX、郵送のルールはここでは扱っていないため、別に確認してください。第2に、非営利団体や営業を営まない個人が送るメールは対象外とされていますが、代理店は営業を営む側なので、対象になると考えておくのが安全です。
CRMでは、3つの習慣が役に立ちます。初回の連絡日とチャネルを残すこと、受信拒否した相手に二度と送らないようにすること、署名の送信者情報と住所を常に最新に保つことです。チャネルごとの違いは、アウトバウンド営業のガイドで比較しています。メールの文面づくりはコールドメールのガイドも参考になります。
ボトルネックがどこにあるかで決まります。見込み客が足りないなら、まずリストを整える必要があります。顧客が多く、事務作業があふれているなら、オールインワンが助けになるかもしれません。
| 選択肢 | 向いている場面 | トレードオフ |
|---|---|---|
| スプレッドシートまたは無料のCRM | 1人で運営している、見込み客が数件 | 手入力が中心で、地図がなく、連絡を忘れやすい |
| オールインワンの代理店向けスイート | 営業、案件、請求を1か所にまとめたい | 導入と設定に手間がかかり、見込み客のリストは自分で用意する必要がある |
| 見込み客開拓を優先するCRM(Vonsel) | 地域の事業者に販売していて、まずその相手を見つけたい | 納品の管理は、すでに使っているツールの中で行う |
無料のCRMを検討しているなら、無料CRMのガイドで利点と限界を確認できます。初めてCRMを入れる小さなチームには、中小企業向けCRMのガイドがより総合的です。プランや上限は変わることがあるため、ブログ記事ではなく料金ページで最新の内容を確認してください。
短い週次のルーティンのほうが、たまに行う大掛かりな作業より効きます。代理店の仕事は新規開拓の時間を圧迫するため、忙しい週でも続けられる量に抑えてください。
フォローは新規の最初の連絡より受注につながりやすいため、新規の連絡がフォローの時間を奪わないよう、順番を守ってください。