ビルメンテナンス営業の進め方
清掃業の新規開拓を、 地図のリストから定期契約まで
ビルメンテナンス営業は、ビルオーナーや管理会社に清掃を中心とした委託契約を提案する仕事です。営業先の選び方、地図を使ったリスト作り、電話・訪問・メール、見積もり、登録制度と迷惑メール法の注意点までを、清掃会社の立場でまとめました。
ステップ解説
・
・
9分で読めます
基本
ビルメンテナンス営業とは何か、清掃業はどう新規開拓するのか?
ビルメンテナンス営業とは、ビルオーナーや管理会社、店舗などに清掃を中心とした維持管理の委託契約を提案する営業活動です。清掃業が新規開拓するなら、施設タイプとエリアを1つに絞り、地図で対象を全件リスト化し、決裁者に電話・訪問・メールで連絡して現地調査の約束を取り、定期契約として見積もるのが基本です。
ビルメンテナンスとは、建物を安全で衛生的な状態に保つ業務の総称です。中小機構のJ-Net21は、対象となる施設はオフィスビルをはじめ商業施設、学校、病院、ホテル、飲食店、マンションなど幅広く、業務内容も清掃や衛生管理、設備機器の運転保守、点検整備、保安警備、ビルマネジメントなど多岐にわたると説明しています。清掃会社の新規開拓は、このうち清掃を軸にした委託契約を取りにいく営業です。
同じJ-Net21のページによると、業務別の売上構成は一般清掃業務が約6割で、小規模企業ほど一般清掃の占める割合が高い傾向があります。清掃は業界の主力業務であり、まず狙うべきは継続的に発注される定期清掃です。
もう1つ押さえたいのが人手です。J-Net21は、人手不足の中で受注を断念せざるを得ないケースもあると述べています。営業を広げる前に、自社が引き受けられる人数と現場数を決めておくと、取った契約を回せなくなる失敗を避けられます。
営業先
ビルメンテナンス営業の営業先はどこか。施設タイプ別の決裁者と提案の切り口
営業先は、定期的に清掃を必要とし、決裁者がはっきりしている施設です。表のように施設タイプごとに、誰に話を通すか、何を切り口にするかが変わります。
オフィスビルとマンションは、オーナーよりも管理会社が窓口になっていることが多く、管理会社は複数の物件を持っています。1社と良い関係が築けると、同じ会社の別物件にも提案しやすくなります。営業先を探すときは、施設そのものだけでなく「不動産管理会社」も検索対象に入れてください。
すでに委託先がある施設も多いので、最初から価格で勝負せず、現在の清掃で気になる点と契約の更新時期を聞く姿勢が大切です。更新時期が分かれば、その少し前に現地調査を提案できます。
居酒屋や飲食店、イベント会場など、同じように定期の外注が発生する業種の営業は、ケータリングの顧客獲得の記事やホテルと観光業への営業の記事も参考になります。
手順
清掃業の新規開拓はどう進めるか。7つのステップ
新規開拓は、リスト作りから契約後のフォローまでを1本の流れにすると安定します。次の7ステップは、初めての顧客獲得でも、すでにルートを持っていて10件目の現場を増やしたい場合でも使えます。
- 施設タイプとエリアを1つに決める。オフィスビル、マンション、店舗、クリニックのうち1つを選び、移動時間が短い範囲に絞ります。狭く決めるほど、午後に10件まとめて回るような動き方ができます。
- 地図検索で対象を全件リスト化する。Googleマップで施設タイプと地名を検索し、名称、住所、電話番号、サイト、評価を一覧にします。抜けのないリストが営業ルートになり、すでに連絡した先を忘れる事故も防げます。
- 決裁者と現在の委託状況を調べる。公式サイトや問い合わせ窓口から、管理会社、総務、店長、院長など決裁に関わる人を探します。委託先がすでにあるかどうかも、最初の電話で確認します。
- 初回の連絡では現地調査の約束だけを取る。電話、訪問、メールのどれでも、その場で契約を迫らず、10分ほどの現地調査の日程を決めることを目標にします。
- 現地調査で範囲、頻度、床材、人数を確認する。清掃範囲、希望の頻度と時間帯、床材や設備、鍵の管理方法を確認し、写真とメモをCRMに残します。
- 見積書と提案書を早めに出す。調査から日を空けずに、範囲、頻度、月額、品質チェックの方法、報告方法を1枚にまとめて送ります。目安は翌営業日です。
- 契約後の報告と定期見直しで継続につなげる。作業報告と定期的な見直しの場を設け、満足してもらえたら同じ管理会社の別物件や近隣施設を紹介してもらいます。
売るのは清掃作業そのものではなく、毎月安定した品質と、困ったときの連絡のしやすさです。単発の依頼を追うより、定期契約を1件ずつ積み上げるほうが、売上も現場の段取りも読みやすくなります。
登録制度
建築物清掃業の登録は、ビルメンテナンス営業に必要か?
必須ではありませんが、持っていると営業で説明しやすくなります。J-Net21によると、建築物衛生法に定められたビルメンテナンス業務を行う事業者には都道府県知事の登録制度があり、登録は義務ではないものの、官公庁の入札の参加資格要件になる場合があります。
登録の中身は全国ビルメンテナンス協会の解説で確認できます。建築物衛生法の登録業種は全部で8つあり、建築物清掃業は1号登録で、建築物における床等の清掃を行う事業を指します。建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まれません。
登録するには、機械器具などの物的基準、監督者や従事者の資格などの人的基準、維持管理の方法などの質的基準のすべてを満たす必要があり、6年ごとに更新します。同協会によると、登録業者の監督者は厚生労働省が定める講習会を6年に1回、業務に携わる従事者は年に1回の研修を受けています。
営業での使い方はシンプルです。登録がある場合は、提案書に1号登録の事業者であることと研修体制を書きます。まだ登録していない場合も、教育の頻度、作業手順、報告方法を具体的に書けば、安心材料になります。官公庁の案件を狙うなら、入札の参加資格要件を早めに確認してください。
アプローチ
電話・訪問・メールはどう使い分けるか?
使い分けの基準は、相手が誰に電話を取り次ぐか、そして現場を見せてもらえるかです。マネージャーが直接電話に出る小さな店舗やクリニックは電話と訪問、受付や担当部署が間に入る管理会社や運営会社はメールと資料が向いています。
電話の目的は、短い現地調査の約束を取ることです。話す内容は簡潔に、近隣の実績と相手の建物に触れて、2つの日程を提示します。
最初の電話の例
「お忙しいところ失礼します。○○清掃の△△と申します。□□ビルの近くで定期清掃を担当しており、ご挨拶のお電話です。今日は契約のお願いではありません。現在の清掃で気になる点がないか、10分ほど現地を拝見してお話を伺えればと思います。木曜日の午前か、金曜日の午後はご都合いかがでしょうか。」
電話や訪問の全体像はアウトバウンド営業の基本にまとめています。訪問営業の記録をどう残すかは訪問営業アプリの記事が参考になります。
営業メールで守るべき法律は何か?
営業メールは、特定電子メール法のルールに従って送ります。総務省のサイバーセキュリティ関連法令のページによると、この法律は広告、宣伝、勧誘を目的とした電子メールの送信について定めたもので、原則として事前に送信に同意した相手にだけ送ることができます(オプトイン方式)。
第3条は、送ってよい相手として、あらかじめ送信に同意した者、総務省令に基づいてアドレスを通知した者、営業にかかる取引関係にある者、そして総務省令に基づいてメールアドレスを公表している団体または営業を営む個人を挙げています。同意を得た場合は、その記録を保存しなければなりません。
さらに第4条は、送信者の氏名または名称と、受信を拒否するための連絡先を表示することを求め、第5条は送信者情報を偽って送ることを禁じています。公表アドレスの扱いは総務省令で定められているため、サイトに載っているアドレスだからといって無条件に送れるとは限りません。送る前に条文と省令を確認してください。一般的な情報であり、法的な助言ではありません。
BtoBのデータに関する考え方はBtoBとBtoCのデータの法的な違いでも整理しています。
見積もり
見積もりと提案で差をつけるには、何を書けばよいか?
見積書には、清掃の範囲、頻度、作業時間帯、月額、品質チェックと報告の方法を1枚にまとめます。相手が比較しやすい書き方にすると、現在の委託先と並べて検討してもらえます。
- 範囲:共用部、専有部、トイレ、床、ガラスなど、どこまでが対象かを図面や写真つきで書く。
- 頻度と時間帯:週何回、何時に入るか。営業時間前後や夜間など、相手の都合に合わせる。
- 月額:作業ごとの積み上げではなく、固定の月額として示す。範囲外の依頼の扱いも決めておく。
- 品質チェック:チェックリスト、巡回の頻度、不具合があったときの連絡と対応の流れ。
- 報告:作業報告の頻度と形式、鍵や入退館の管理方法。
提案は、清掃をするという説明で終わらせず、テナントや利用者からの苦情を減らすといった相手の困りごとへの答えとして書くと伝わります。契約後は定期的に見直しの場を設け、継続と紹介につなげます。
Vonselの使い方
Vonselで、清掃業の営業先リストをどう作るか?
Vonselは、Googleマップの検索結果を取り込み、営業先の一覧と進捗管理を1か所にまとめられるツールです。清掃業の新規開拓では、次の流れで使えます。
- 地図で検索する。Googleマップで「不動産管理会社 大阪市」「クリニック 札幌市」のように施設タイプと地名を入れて検索し、Startを押します。
- 地図を動かして結果を集める。Vonselは地図を探索しながら検索結果の店舗を収集するため、一目で見えるピンだけにとどまりません。一時停止、再開、検索の保存もできます。
- 公開されている連絡先を探す。Googleマップでは店舗のメールアドレスは提供されません。Vonselはアクセス可能な店舗サイトを調べ、公開メール、追加の電話番号、最大118種類の対応SNSやその他プラットフォームへのリンクを探します。取得できる情報は各サイトの公開内容によります。
- CRMで進捗を管理する。店舗をステージ別に地図で管理し、情報を編集できます。カンバン、カレンダー、メモ、アクション、タグ、カスタム項目も使えるので、更新時期や次回の連絡日を記録できます。
抽出の流れはチュートリアル動画で確認できます。リストの作り方の考え方はGoogleマップのデータで営業リストを作る記事で詳しく説明しています。各プランに含まれる内容は料金ページを見てください。
あなたのエリアの営業先を見つけましょう
Googleマップで検索し、サイトの公開連絡先を集め、CRMで見込み客を整理できます。抽出は毎月200件の店舗まで無料。AIとエクスポートはプランによって異なります。
無料で始める