医療機関の検体配送の契約を取る方法
検体配送の契約を、検査会社や医療機関の荷主開拓から、有料トライアル便、書面の契約まで順に解説します。厚生労働省の衛生検査所指導要領で求められる搬送の記録、患者の個人情報の扱い、軽貨物の安全対策、営業メールの法律もまとめました。
ユースケース
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結論
検体配送の契約は、どうすれば取れますか?
検体配送の契約を取るには、検査会社や医療機関の担当者に直接連絡し、決まった時間に決まった温度条件で運べることを、有料のトライアル便で示すのが最短です。搬送の記録と事故時の連絡手順を書面で見せ、運賃と集荷時間を決めた契約を結びます。
検体とは、人体から排出され、または採取されたもののことです。検体配送は、診療所や病院で集めた検体を、検査を行う衛生検査所や病院の検査室へ、決められた時間と条件で運ぶ仕事を指します。毎日同じ施設を同じ時間に回る定期ルートになりやすく、荷主が運送会社を頻繁に替えにくいため、一度信頼を得ると長く続く傾向があります。
ただし、荷物の扱いも相手も、一般の宅配とは違います。検体は時間と温度で状態が変わり、ラベルや依頼書に患者の情報が載ることもあります。そのため荷主は、料金の安さより、時間を守れることと、記録を残せることを重視します。軽貨物の荷主開拓の全体像は、軽貨物の荷主開拓のやり方でも解説しています。
荷主の探し方
検体配送の仕事は、どこから見つかりますか?
探し先は主に4つです。衛生検査所(検査会社)の協力ドライバー、病院やクリニックへの直接営業、薬局や訪問看護などの定期配送、医療物流会社や大手運送会社の下請けです。
検査会社の協力ドライバーは、検査会社の指導要領の運用に合わせる必要がある分、要求は細かくなります。その代わり、集荷先が多く、毎日の便数が読みやすい仕事です。車で大きめの荷物も運べるなら、医療機器や備品の配送を扱う方法として、ボックストラックの契約の取り方も参考になります。
荷主の種類
検体配送の荷主には、どんな施設がありますか?
荷主になりやすいのは、検体や薬を毎日動かす施設で、互いに近い場所に集まっているところです。表の「重視すること」は、営業先で最初に聞く質問の目安として使ってください。
表の都市は例です。ご自身の拠点から午前中に回れる地域に置き換えて、検索してください。見込み客は、施設の大きさではなく、拠点から近い範囲に何か所あるかで順位を付けます。1本の通り沿いにクリニックが6軒ある方が、片道40分の病院1軒より価値があります。
搬送の決まり
検体を運ぶとき、荷主はどんな記録と決まりを求めますか?
検査会社が他者に検体の搬送を行わせる場合は、厚生労働省の衛生検査所指導要領に沿った運用が基本になります。指導要領には、他者に検体の搬送を行わせる場合、その他者が指導要領を遵守するよう指導していることが確認項目として書かれています。運ぶ側が求められやすい内容は、次の6つです。
- 搬送条件。検査会社は検体搬送標準作業書を作り、搬送に必要な設定温度、震動や遮光などの条件、常温・冷蔵・冷凍に分けた専用搬送ボックスの扱いを書くことになっています。契約前に、荷主の標準作業書をもらって確認します。
- 搬送の記録。検体搬送作業日誌には、搬入と搬出の年月日と時刻、担当者名、事故の記録などを書く項目があります。運ぶ側も同じ項目を自分の記録として残しておくと、提出を求められたときに困りません。
- 研修。職員研修の対象には、検査をする人だけでなく、検体の受領や搬送などに従事する人も含まれると書かれています。荷主の研修を受ける可能性があります。
- 受領時の確認。受領時の確認事項には、検体ラベルの記載項目、保存状況、検査依頼書と検体の数・種類・量などがあります。受け取るときに数と状態を確認し、受領書を残します。
- 役割の線引き。搬送業者が検査委託契約を結ばないこと、検査結果の報告を搬送業者の名前で出さないこと、検査会社の名前を明記した検査依頼書と受領書を使うことが、確認項目に入っています。運ぶ側は、検査の中身には立ち入りません。
- 実地調査。検査会社の精度管理責任者は、他者に受領や搬送を行わせている場合、必要に応じて実地調査を行うとされています。荷主の担当者が同乗や現場確認に来ることもあります。
検査会社が宅配便などの業者に検体の受領と搬送を行わせること自体は、検査会社がその業者に指導要領を守らせるなら、臨床検査技師等に関する法律等に違反しないことが、厚生労働省への照会の結果で確認されています。つまり、運送会社が検体配送に参入する道は制度上開かれていますが、条件を守る体制が前提です。
個人情報と安全
患者の個人情報と軽貨物の安全対策は、どう考えればよいですか?
患者の情報は、契約で扱いを決めておきます。軽貨物で請け負う場合は、国の安全対策への対応も荷主への説明材料になります。
- 個人情報。検体ラベルや検査依頼書には、患者の情報が載る場合があります。個人情報保護委員会と厚生労働省のガイダンスによると、医療機関は、検査などの個人データの取扱いを委託する場合、受託者に必要かつ適切な監督をしなければなりません。委託契約に安全管理措置の内容を盛り込んで受託者の義務とすること、業務が適切に行われているか定期的に確認することが含まれます。再委託する場合は、事前の報告や承認を求めることが望ましいとされています。
- 運ぶ側の準備。秘密保持の条項、再委託の可否、漏えいが疑われたときの連絡先を、契約前に荷主へ確認します。自分が個人データの受託者に当たるかどうかは契約内容で変わるため、荷主の指示に従い、判断に迷う点は専門家に相談してください。
- 軽貨物の安全対策。国土交通省は、貨物軽自動車運送事業の安全対策を2025年4月から強化しました。保有台数1万台当たりの事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数が、平成28年から令和5年にかけて約4割増えたことが背景です。貨物軽自動車安全管理者の講習の受講が義務付けられ、事故が起きたときは営業所の所在地を管轄する運輸支局へ報告します。
検体配送は時間と丁寧さが評価される仕事なので、安全管理の体制を示せることは、料金表より強い提案材料になります。自分の事業にどの義務が当てはまるかは、国土交通省の案内ページか運輸支局で確認してください。
リスト作り
検体配送の見込み客リストは、どう作りますか?
Googleマップで、走れる範囲の施設を種類ごとに検索し、結果を取得して、各社のウェブサイトに載っている連絡先を集めます。半日ほどで作れて、検索をやり直すたびに更新できます。リスト作りの基本は地元企業の探し方とGoogleマップのデータを使った営業の進め方にもまとめています。
- エリアを決める。集荷の時間枠に収まる範囲を選びます。拠点から車で20分以内の地域は、市全体より守りやすいエリアです。
- 種類ごとに検索する。「大阪市 臨床検査センター」「名古屋市 内科 クリニック」「福岡市 調剤薬局」のように、1回の検索で1種類にすると、リストが整理できます。
- 結果を取得する。無料のVonsel Chrome拡張機能で、Googleマップに表示されている企業名、住所、電話番号、ウェブサイトなどを一覧にできます。操作の流れは、チュートリアル動画をご覧ください。
- ウェブサイトの連絡先を集める。各社が自社サイトに載せている連絡先を追加して、電話以外の連絡手段も確保します。
- 不要な施設を外す。重複、自前で搬送体制を持つ大きな病院、エリア外の施設を外します。
- 連絡を記録する。取得した企業は、地図上に表示し、ステージごとに整理して、メモやタグで連絡の状況を管理できます。誰に連絡して、誰が返信したかが分かります。
Googleマップで分かるのは施設の場所で、担当者の名前は出ません。受付に電話して、「検体の集荷はどなたが担当されていますか」と聞くのが確実です。各プランの内容と制限は料金ページに載っています。
検体配送は、密度で決まります。狭いエリアの中で、毎日検体や薬が動く施設をどれだけ見つけられるかが、1便に積める件数です。見込み客リストは、そのまま最初のルート案になります。
営業の連絡
営業メールは、どんな点に気を付ければよいですか?
まず電話か訪問で連絡し、そのあとに短いメールを送ります。医療機関は忙しいため、メールは具体的な困りごとを1つ挙げて、簡単な質問で終えるのが基本です。法律面では、特定電子メール法に従います。
- 最初は電話で確認する。検体の集荷を誰が担当しているか、今日は何時に集荷が来るかを聞きます。
- メールは2通目に回す。自己紹介、対応エリア、提示できる実績、現在の集荷で困っていることへの質問を、2、3文で書きます。
- 近い施設をまとめて訪ねる。同じ通りに6軒あれば、午前中の訪問は、1週間返信を待つメールより低コストです。
迷惑メール相談センターによると、広告宣伝にあたるメールは、原則として受信者の事前の承諾が必要です。団体や個人事業主がウェブサイトで公表しているアドレスは例外とされますが、送信拒否の表示があれば例外にはなりません。承諾があっても、送信者の名称や住所、送信拒否の連絡先などの表示が必要です。送信者の情報を偽ったり、命令に従わなかったりすると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金があり、法人には最大3000万円の罰金も定められています。しつこく感じさせない間隔は、コールドメールの30-30-50ルールを参考にしてください。
契約書
検体配送の契約書には、何を書くべきですか?
契約書には、何をいつ、いくらで、どんな条件で運ぶか、誰が何に責任を持つか、どちらがどう解約できるかを書きます。下の表は、最初の集荷の前に決めておきたい9項目です。法律上の助言ではありませんので、最終的な契約書は専門家に確認してください。
契約の取り方
有料トライアル便を、定期契約につなげるにはどうすればよいですか?
トライアルの成果を数字で示し、継続を依頼します。施設側が搬送業者を替えることは少ないため、証拠は担当者がそのまま社内に回せる形にします。同じ考え方は、清掃業の契約の取り方のような、ほかの定期サービスにも使えます。
- すべての便を記録する。集荷時刻、届け時刻、受領者の署名、温度区分、事故の有無を残します。
- 問題は正直に報告する。遅れた日は、理由と直した点を短く書きます。完璧な報告書より信頼されます。
- 1ページにまとめる。トライアル終了時に、完了した便数、定時の割合、事故の件数、提案する契約条件を書いて送ります。
- 隣の施設を聞く。集荷で困っている近所の施設を紹介してもらい、次の訪問先にします。