営業自動化とは、リスト作成、活動の記録、フォローアップ、案件の更新といった繰り返しの営業業務をソフトウェアに任せることです。導入はデータ、CRM、配信の順が基本です。自動化は入力したデータの質をそのまま増幅するため、正確な地域の事業者データから始めるほど成果が出やすくなります。
フリーランス、制作会社、地域の中小企業に向けた営業自動化の実践ガイドです。5つのツールの種類、導入する順番、日本のメールと電話に関する規則、そしてすべてのツールが頼りにするデータを整理します。
営業自動化とは、リスト作成、活動の記録、フォローアップ、案件の更新といった繰り返しの営業業務をソフトウェアに任せることです。導入はデータ、CRM、配信の順が基本です。自動化は入力したデータの質をそのまま増幅するため、正確な地域の事業者データから始めるほど成果が出やすくなります。
営業自動化とは、リストの作成、活動の記録、フォローアップの予約、メールの配信、案件の管理といった、毎回同じ手順で進む営業業務をソフトウェアに任せることです。目的は商談を減らすことではなく、人が顧客と話す時間を増やすことです。日本では、この領域は「SFA(営業支援システム)」と呼ばれてきました。ウィキペディアは、事務処理の自動化を目指すOAに対し、営業プロセスの自動化を目指すのがSFAだと説明し、顧客情報の管理・分析の要素を含むためCRMの一環として扱われることもあるとしています。
ただし、自動化できるのは「毎回同じ」部分だけです。フォローアップの通知は自動化に向いていますが、大阪市の歯科医院の院長から届いた、少し疑い深い返信にどう答えるかは自動化できません。相手の反応を読み取る場面では、ツールは補助にとどまります。
同じページは、SFAを導入したものの現場で活用されずに終わる例があることも指摘しています。この記事の関心は、機能の比較表より手前にある問いです。何を入力し、誰が使い、どの順番で導入するのか。ここを決めた会社だけが、ツールの費用を回収できます。AIが営業をどう変えているかは、AI SDRの解説で詳しく扱っています。
大きく5種類あり、それぞれが同じ営業プロセスの別の段階を担当します。小規模なチームに必要なのは通常2〜3種類で、5つすべては要りません。各種類が何を自動化し、何に依存するかを表にまとめました。
| 種類 | 自動化する内容 | 前提となるもの | 主なリスク |
|---|---|---|---|
| リード情報の収集 | Googleマップなどからターゲットの一覧を作る | 業種と地域の絞り込み | 古い、または不完全なデータ |
| SFA/CRMの自動化 | 連絡先の登録、タスクの作成、案件のステージ移動 | 決まったパイプラインと、統一したステージ名 | 誰も守っていない手順を自動化してしまう |
| メール配信(ステップメール) | 最初のメールと、日程に沿ったフォローアップ | 正確なアドレスと、評価の育った送信ドメイン | 送信ドメインの評価低下と、法令違反 |
| 電話・メッセージのツール | 発信、通話の記録、定型文 | 電話番号と、勧誘や同意に関する規則の理解 | 電話勧誘やオプトインの規則への違反 |
| AIによる調査と下書き | 事業者ごとの要約と、メールの初稿 | 各事業者の実際のデータ | 根拠の弱い内容を、自信ありげに書いてしまう |
5種類のうち4種類は、最初のリスト作成に依存しています。配信ツールは悪いリストを直せませんし、AIは与えられていない事実を作れません。なお、日本で「MA(マーケティングオートメーション)」と呼ばれるツールは主にメール配信やスコアリングを担うため、上の表ではメール配信に近い位置づけです。
順番は、リストの作成、CRMへの記録、フォローアップの通知、メッセージの配信です。後ろの工程ほどリスクが高く、前の工程が正確なほど後ろの精度が上がります。いきなりメールの一斉配信から始めるのは、最もよくあり、最も高くつく失敗です。
フリーランス、小さな制作会社、地域のサービス業に向けた手順は次のとおりです。
「福岡市のリフォーム会社」「名古屋市の税理士事務所」のように、狭い対象を決めます。自動化は向けた先を広げるだけなので、広い対象より鋭い対象のほうが成果につながります。
条件に合う事業者を、住所、電話番号、Webサイト、評価とあわせて取得します。手作業でのリスト作りはアウトバウンドで最も時間のかかる反復作業で、ソフトに任せやすい工程です。
すべての事業者を、ステージ、メモ欄、次の行動を持つ形でCRMに入れます。次の行動が決まっていないリードは、誰の目にも入らなくなります。選び方は中小企業向けCRMの解説、ステージの考え方はセールスパイプラインの解説をご覧ください。
連絡したすべてのリードに、フォローアップのタスクを設定します。何も送らない自動化ですが、断られたからではなく忘れていたせいで消える案件を拾い上げます。
AIに事業者のデータを読ませて最初のメッセージを下書きさせます。返信が来てメッセージが通用すると分かるまでは、自分で読み、自分のメールボックスから送ります。
手で送ったメッセージに返信が来るようになってから、日程に沿ったフォローアップを予約します。送信ドメインの評価が育っていないうちに配信量を増やしてはいけません。
自動化は、入力の質を良くも悪くも増幅するからです。閉店した店、古い住所、汎用の問い合わせ窓口ばかりのリストに配信を続けても成果が出ないだけでなく、あとで必要になる送信ドメインの評価まで傷つけます。
地域の中小企業が相手なら、Googleマップが最も豊富な出発点です。顧客が実際に検索する場所なので、各掲載にカテゴリ、住所、電話番号、Webサイト、評価、口コミの件数が載っています。一方でマップにはメールアドレスが載っていないため、足りない層は各社のWebサイトが公開している連絡先です。地図検索を営業のパイプラインに変える流れは、Googleマップのデータを使った見込み客開拓で説明しています。
データは、AIに書かせる内容の根拠にもなります。口コミには、連絡する理由がよく書かれています。問い合わせへの返信が遅い、スマートフォンで表示されないWebサイト、といった具合です。実際の課題に触れたメッセージは、自動化が成果につながる場合と、迷惑メールとして扱われる場合を分けます。口コミを商談の種に変える方法は、AIレビュー分析をご覧ください。
VonselはGoogleマップの実データをもとに、データの収集、調査、下書きの段階を自動化し、何を送るかの判断は人に残します。流れは6つのステップです。
「福岡市の歯科医院」のように探したい事業者を検索し、Startを押して地図を動かします。拡張機能が、見ている範囲の結果を集めていきます。
Vonselが各事業者のWebサイトをバックグラウンドで開き、掲載されているメールアドレス、携帯番号、WhatsApp、SNSのプロフィールを探します。何が見つかるかは、各サイトの掲載内容次第です。
口コミAIが、オーナーの返信を含めて顧客の声を要約します。自社が解決できそうな課題を、読み込まずに把握できます。
Cold Email AIが、事業内容、口コミの内容、こちらの提案をもとに最初のメールを書きます。
下書きを読み、手を入れて、自分のメールボックスから送ります。あなたの確認なしに外へ出るものはありません。
すべての事業者が、ステージ、メモ、かんばんボードを備えた地図ベースのCRMに入ります。フォローアップごとに担当と期日が決まります。
取得から保存までの一連の流れは、動画チュートリアルを見ると確認できます。無料で抽出を試せます。AI機能、エクスポート、大量の取得については、料金ページをご覧ください。
自動化しても、法的な責任は移りません。送信者は常にあなたです。日本で営業の自動化に関わる主な規則は、広告宣伝メールを規制する特定電子メール法、電話勧誘を規制する特定商取引法、個人情報を扱う個人情報保護法の3つです。これに、到達率に関わるGmailの送信者要件が加わります。
メール。総務省のパンフレット「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」によると、広告宣伝のために送るメールが規制の対象で、あらかじめ同意した相手にだけ送れるオプトイン方式が原則です。電話番号宛てのメッセージ(SMS)や、海外から日本に着信するメールも対象に含まれます。対象外とされているのは非営利団体や営業を営まない個人の送信なので、事業として送る営業メールは対象と考えるのが安全です。
同意なしに送れる例外として、同パンフレットは、取引関係にある相手、名刺などの書面でメールアドレスを通知した相手、そして自己のメールアドレスをインターネットで公表している団体や営業を営む個人を挙げています。ただし、アドレスの公表と併せて広告宣伝メールの送信を断る旨が掲載されている場合は、同意なしには送れません。
送るメールには、送信者の氏名または名称、受信拒否ができる旨とその通知先(メールアドレスまたはURL)、送信者の住所、苦情や問い合わせを受ける連絡先の表示が必要です。受信拒否の通知を受けたら以後の送信は禁止され、通知の記録も残すよう求められています。送信者情報を偽って送ると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人には3,000万円以下の罰金)の対象になります。このパンフレットは2018年7月の表記なので、最新の条文とガイドラインも必ず確認してください。
電話。消費者庁の特定商取引法ガイド(電話勧誘販売)によると、電話勧誘販売は事業者が電話で勧誘して申込みを受ける取引で、勧誘に先立つ事業者名や勧誘目的の明示と、契約しない意思を示した人への再勧誘の禁止が定められています。「営業のため、又は営業として締結するもの」は適用除外ですが、利益を得る意思があるだけで直ちに該当するとは限らないと、同庁のQ&Aは述べています。発信と通話記録は自動化できても、名乗りと断られた相手の除外は運用に組み込んでください。
個人情報。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、法人そのものの情報は個人情報に当たらず、役員や従業員の情報は当たるとしています。名刺の情報を表計算ソフトで整理している場合は、個人情報データベース等の事例です。また、インターネット上で本人が自発的に公にしている個人情報を取得した場合は、利用目的の通知または公表が必要な事例として挙げられています(単に閲覧しただけの場合を除く)。担当者名つきで連絡先を保存するなら、利用目的を公表しておくのが実務の基本です。BtoBとBtoCのデータの扱いの違いは、BtoBデータとBtoCデータの法的な違いでまとめています。
到達率。Googleのメール送信者のガイドラインは、2024年2月1日以降、Gmailアカウントに1日5,000通を超えて送る送信者に、SPF、DKIM、DMARCの設定とワンクリックでの登録解除を求めています。Postmaster Toolsで見る迷惑メール率は0.10%未満に保ち、0.30%以上にしないことが示されています。小規模な送信者はこの量に届きませんが、目標値として役立ちます。
| チャネル | 確認する規則 | 運用に組み込むこと |
|---|---|---|
| 営業メール(BtoB) | 特定電子メール法: 原則オプトイン、公表アドレスなどの例外、表示義務、受信拒否の遵守 | 定型のフッター、配信停止リスト、断られた相手への再送防止 |
| Gmail宛ての大量配信 | SPF、DKIM、DMARC、ワンクリック登録解除、迷惑メール率0.10%未満 | 認証済みのドメインと、小さな最初のバッチ |
| 営業電話 | 特定商取引法(消費者向けの場合): 事業者名などの明示、再勧誘の禁止 | 通話ログ、冒頭の名乗りの台本、断られた相手の除外 |
| 収集した連絡先 | 個人情報保護法: 担当者名などは個人情報、利用目的の通知または公表 | 取得元の記録と、公表済みのプライバシーポリシー |
ここに書いたのは一般的な情報であり、法的助言ではありません。自分のリストと提案内容については、弁護士や専門家に確認してください。
いま最も時間を取られている工程で選びます。毎週リスト作りに何時間も使っている個人にはデータ収集が、初回の電話のあとで案件を落としてしまう2人の制作会社にはリマインダー付きのCRMが合います。契約の前に、次の6点を確認してください。
営業の中心が電話や訪問でも、考え方は同じです。ソフトが効率化する手作業の流れは、アウトバウンドセールスとは?の入門記事で確認できます。
生まれた商談の数で判断します。バッチごとに、到達率、返信率、前向きな返信の率、獲得した商談数の4つを記録します。そこに、メールサービスが示す迷惑メール率を加え、送信量が評価を追い越さないようにします。
自動で送ったバッチは、同じ件数を手で書いて送った対照のグループと比べてください。前向きな返信が対照に届かないなら、送信数を増やす前にデータか提案を直します。リスト作成や記録に使う時間が週にどれだけ減ったかも、ソフトの効果を示すもう1つの指標です。