中小企業 CRMとは、顧客と見込み客の連絡先、商談の進み具合、次に連絡する日を一か所にまとめるソフトウェアです。1人から20人ほどのチームが、名刺やメール、スプレッドシートに散らばった情報を顧客ごとに一つの記録へ集め、フォローアップの漏れを防ぐために使います。最初は機能が少なくても、毎日開ける簡単なものを選びましょう。
中小企業がCRMに求めること、スプレッドシートで足りる境目、そして特定電子メール法や補助金など日本ならではの注意点までを、順番に整理しました。
中小企業 CRMとは、顧客と見込み客の連絡先、商談の進み具合、次に連絡する日を一か所にまとめるソフトウェアです。1人から20人ほどのチームが、名刺やメール、スプレッドシートに散らばった情報を顧客ごとに一つの記録へ集め、フォローアップの漏れを防ぐために使います。最初は機能が少なくても、毎日開ける簡単なものを選びましょう。
中小企業のCRMとは、顧客と見込み客の情報、やり取りの履歴、商談の進み具合を一か所にまとめて管理する仕組みです。CRMは顧客関係管理(Customer Relationship Management)の略です。ウィキペディアは、顧客や市場から集めた情報を一元化し、売上の拡大と収益性の向上につなげる経営戦略・手法と説明しています。そのための道具がCRMシステムです。
顧客ごとの記録をつける考え方自体は新しいものではありません。同じ解説は、日本でも江戸時代の大福帳に見られるように、顧客ごとの管理が昔から実践されてきたと述べています。いまはそれを、紙の帳面ではなくソフトウェアで行います。
小さな会社にとって役に立つのは、教科書の定義よりずっと狭い範囲です。毎朝、次の4つに答えられれば十分です。今日は誰に連絡するか。前回は何を話したか。どの案件が進行中か。どの案件が止まっているか。
なお、「顧客管理システム」はほぼ同じ意味で使われます。営業支援(SFA)は、商談の進み具合の管理に重点を置いた呼び方です。社員が数人の規模なら、両方の機能を一つのツールで使えれば十分で、名前の違いにこだわる必要はありません。
中小企業向けのCRMを実際に使うのは、ほとんどが少人数のチームです。総務省と経済産業省の令和3年経済センサス-活動調査によると、2021年6月1日現在の企業等の数は368万4049です。「企業等」には、法人のほか個人経営の事業所も含まれます。産業別に数の多い順に見ると、次のようになります。
| 産業(企業等の数が多い順) | 企業等の数 | 全体に占める割合 | CRMで追いかける典型例 |
|---|---|---|---|
| 卸売業,小売業 | 741,239 | 20.1% | 仕入先、法人のお得意様、リピート客の管理 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 426,575 | 11.6% | 団体予約、法人利用、紹介元の管理 |
| 建設業 | 426,155 | 11.6% | 見積もり、現場ごとの連絡、元請けとの関係 |
| 製造業 | 339,738 | 9.2% | 取引先、見積もり、受注後のフォロー |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 334,668 | 9.1% | 予約客、会員、再来店の連絡 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 328,329 | 8.9% | 問い合わせ、内見、契約更新の時期 |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 214,724 | 5.8% | 顧問先、提案中の案件、更新の時期 |
この表は大企業も含む全体の数字で、中小企業だけの内訳ではありません。それでも、店舗、現場、事務所を持つ地域の事業者が数の上では大きな割合を占めていることが分かります。こうした事業者は、お客様の数は多くなくても、一人ひとりとの関係が売上に直結します。
このテーマにたどり着く人は、たいてい次の3つのどれかです。
3つとも、必要なのは同じ小さな核です。最初から設定項目が200もあるツールは要りません。
連絡先が少なく、一人が毎日見るのであれば、スプレッドシートで足ります。CRMが必要になるのは、フォローアップが漏れたとき、二人が同じ相手に連絡してしまったとき、進行中の案件を10秒で一覧できなくなったときです。基準は、こうした「事故」が起きているかどうかです。
名刺を束ねたまま、Excelに転記して終わり、という運用もよくあります。それ自体は間違いではありません。壊れ始める場所を、項目ごとに比べてみましょう。
| 必要なこと | Excel・スプレッドシート | 中小企業向けCRM |
|---|---|---|
| 連絡先の保管 | 短いリストなら問題なし | カスタム項目と検索つきで、増えても探しやすい |
| フォローアップの通知 | 自分で見に行く必要があり、忘れやすい | 連絡先に紐づき、期日に知らせてくれる |
| 案件の全体像 | 「状況」列を目で追う | 段階ごとに並び、ドラッグで進められる |
| 連絡先ごとの履歴 | メモが散らばっていく | 日付つきのメモと行動の記録が一か所に残る |
| 2人以上での利用 | 同時編集で上書きや版の食い違い | 共有の記録が一つだけ |
| 重複 | 気づいたときには増えている | 見つけやすく、統合しやすい |
| 費用 | 無料 | 無料プランもあり、有料は上限や機能が増える |
今のスプレッドシートで困っていなければ、無理に乗り換える必要はありません。まず無料で試したい場合は、CRM無料の選び方で、登録前に見ておくべき制限をまとめています。
必要なのは7つです:カスタム項目つきの連絡先、パイプライン、リマインダー、メモと履歴、インポートとエクスポート、スマートフォン対応、メールとの連携。残りの機能はあれば便利という位置づけで、後回しにできます。体験版では、デモデータではなく自社の実際の顧客データで一つずつ試してください。
試す項目の中で見落としやすいのが、日本語のデータです。会社名や担当者名を含むCSVを書き出して、Excelで開いても文字化けしないかを必ず確認しましょう。乗り換えるときの出口になるからです。
| 機能 | なぜ必要か | 体験版での試し方 |
|---|---|---|
| 1. 連絡先とカスタム項目 | 業種、地域、担当者、最後の見積額など、自社に必要な項目があるため | 3つの項目を2分以内に追加できるか |
| 2. 見やすいパイプライン | 各案件がどの段階にあるかが一目で分かる | 自社の売り方に合わせて段階名を変えられるか |
| 3. リマインダーと次の行動 | 小さなチームが案件を落とすのは、フォローアップの段階 | 期日を設定して、その日の画面に出てくるか |
| 4. メモと履歴 | 前回の電話の内容を、受信箱をさかのぼらずに思い出せる | 連絡先を開いて、経緯を最初から読めるか |
| 5. インポートとエクスポート | 特定のツールに閉じ込められないため | 20行を取り込み、CSVに書き出して、日本語が文字化けしないか |
| 6. スマートフォンでの利用 | 移動中や現場、店頭から案件を更新できる | 電話の内容をスマホから記録できるか |
| 7. メールとカレンダーの連携 | 開くタブが減れば、返信忘れも減る | メールボックスをつなぎ、1通送れるか |
手順を踏んで選びます。自社の売り方を書き出し、条件に合うツールを2、3個に絞り、同じ実データで1週間試してください。ランキングは自社の事情を知りませんが、自分で試した結果にはそれが反映されます。
使い始めたら、数字で判断しましょう。追うべきCRM指標の一覧が出発点になります。案件の段階がはっきりしていると、数字の意味も明確になるので、営業パイプラインの考え方もあわせて確認してください。
使える場合があります。「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的に、ITツールの導入を支援する制度です。ただし、対象になるのは事務局の審査を受けて登録されたITツールだけで、申請は事務局に登録された「IT導入支援事業者」と組んで行います(複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く)。
同じページには、クラウドサービスの利用料なども補助の対象に含まれると書かれています。一方で、公式サイトのトップには制度変更のお知らせも掲載されています。使いたいCRMが登録されているか、いまの公募の条件に当てはまるかは、必ずITツール検索と最新の公募要領で確認してください。この記事では、金額や採択の可否には触れません。
地域の事業者に売る場合、最も早く見込み客を見つけられるのはGoogleマップです。美容室、税理士事務所、工務店、飲食店、歯科医院など、ほとんどの事業者が電話番号、住所、評価つきで載っています。問題は、それを手で打ち直さずにCRMへ取り込む方法です。
たとえば、大阪のホームページ制作会社が、サイトが古い飲食店を探す。福岡の清掃会社が、歯科医院やクリニックに営業する。札幌の社会保険労務士事務所が、従業員を抱える工務店を探す。どの場合も、業種と地域で検索して、並べ替え、電話をかけ、進み具合を記録できるリストが必要です。
Vonselは、この流れに合わせて作られています。Googleマップで検索して「開始」を押すと、Vonselは地図を探索しながら、一目で見えるピンにとどまらず、事業者の検索結果を集めます。一時停止も再開もでき、準備ができたら保存できます。Googleマップには事業者のメールアドレスが載っていないため、Vonselは利用できる事業者のウェブサイトを訪れ、公開されているメールアドレス、追加の電話番号、最大118の対応するSNSなどのプラットフォームへのリンクを探します。見つかる内容は、各ウェブサイトが公開している情報によって変わります。
集めた事業者は、CRMの中の地図上に残ります。段階ごとに整理し、詳細を編集し、カンバン、カレンダー、メモ、アクション、タグ、カスタム項目を使えます。先に動きを見たい方は、チュートリアル動画をご覧ください。リストを作る手順を詳しく知りたい方は、リード一覧の作り方もどうぞ。
最初の1か月は、あえて地味にします。パイプラインは一つ、取り込みは一度、毎日の習慣も一つだけです。次の順で進めてください。
最初の1か月のゴールは、毎日開く習慣をつけることです。毎日開く簡単なパイプラインは、週に一度しか開かない凝ったパイプラインに勝ちます。
広告宣伝メールは、宛先が会社でも特定電子メール法の対象になり、原則はあらかじめ同意した相手にだけ送れます。総務省の「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」(2018年7月版)は、対象を「広告宣伝メール全般」とし、送信先を個人に限っていません。非営利団体や営業を営まない個人が送るメールは対象外です。
同意なしで送れる例外もあります。同じ資料は、次のように整理しています。
| 相手の状況 | 同意なしの送信 | 注意点 |
|---|---|---|
| 取引関係にある相手 | 同意なしで送れる(例外) | 通信販売などの電子メール広告にあたる場合は、特定商取引法で別に請求・承諾が必要 |
| 名刺などの書面でアドレスを知らされた相手 | 同意なしで送れる(例外) | 同上。名刺交換の記録をCRMに残しておくと、あとで説明しやすい |
| ウェブサイトなどでアドレスを公表している事業者 | 同意なしで送れる(例外) | 広告宣伝メールを送らないよう求める旨も公表されている場合は、送れない |
| 上のどれにも当たらない相手 | 原則として送れない | あらかじめ同意を得る。同意の記録は、最後に送った日から1か月保存する |
送るときは、送信者の氏名または名称と、受信拒否を伝えられる連絡先(アドレスまたはURL)の表示が必要です。一度受信を断られた相手には、同意を得ていても以後は送れません。CRMに「配信停止」の印をつけ、二度と送らない仕組みにしておきましょう。表示義務や受信拒否の取り扱いに従わない場合は、命令や罰則の対象になります。
もう一つ見落とされがちなのが、個人情報です。個人情報保護委員会のFAQは、法人の代表者の氏名や、取引先企業の担当者名といった情報も個人情報にあたると説明しています。CRMに担当者名を入れるなら、その扱いにも責任が生じます。B2Bのデータが法的にどう違うかはB2BデータとB2Cデータの法的な違い、コールドな営業の全体像はアウトバウンド営業とはで解説しています。
これは一般的な情報であり、法的な助言ではありません。具体的な配信については、最新の法令とガイドラインを確認するか、弁護士にご相談ください。
使われなくなるCRMで繰り返される失敗は4つあります。どれもソフトの性能とは関係がありません。
無料で始めたい方は、CRM無料の選び方をご覧ください。Vonselのプランを比べる準備ができたら、料金ページで内容を確認できます。