新規開拓とは、まだ取引のない企業や店舗を自分から探し、連絡し、商談につなげる営業活動です。優れた新規開拓は、市場全体を、連絡先を確認済みの狙うべき相手の短いリストに絞り込み、商談の約束を取った時点で一区切りにします。
新規開拓の意味、営業リストのつくり方、電話・メール・訪問の使い分け、追うべき指標、そして送る前に確認したい日本の法令を、地域の店舗や中小企業を相手にする営業の目線で整理します。
新規開拓とは、まだ取引のない企業や店舗を自分から探し、連絡し、商談につなげる営業活動です。優れた新規開拓は、市場全体を、連絡先を確認済みの狙うべき相手の短いリストに絞り込み、商談の約束を取った時点で一区切りにします。
新規開拓は、売り手が意図して行う営業活動です。一方、リード獲得は、広告、コンテンツ、イベントなどで買い手の関心を集め、問い合わせを得る活動を指します。ウィキペディア日本語版の「潜在顧客」では、リード生成を「製品やサービスへの消費者の関心を惹きつけること、もしくはインバウンドで問い合わせを得られるようにすること」と説明しています。新規開拓はそれより一歩手前、つまり先に相手の企業を選び、そこから担当者を探すところから始まります。
同じページでは、リード(潜在顧客)と見込み客(プロスペクト)も区別されています。見込み客は、自社の商品やサービスに関心があり、いずれ購入する可能性がある段階の顧客とされています。実務では、CRMにこの区別をそのまま持ち込むと管理しやすくなります。アウトバウンド全体の考え方は、アウトバウンド営業とはで整理しています。
| 用語 | 意味 | 最初に動くのは |
|---|---|---|
| 新規開拓 | 取引のない相手を自分で選び、連絡して商談につなげる | 売り手 |
| リード獲得 | 広告やコンテンツ、イベントで関心を集め、問い合わせを得る | 多くの場合、買い手 |
| リード(潜在顧客) | 関心がありそうな相手の連絡先情報 | どちらもあり得る |
| 見込み客 | 関心があり、いずれ購入する可能性がある段階の顧客 | 売り手が選別する |
| 営業リスト | 新規開拓の対象を、1社1行で整理した一覧 | 売り手が作成する |
新規開拓は、繰り返せる6つのステップで進めます。最初の3つは、連絡を送る前に終わらせます。相手を間違えたリストは、どんな文面でも救えないからです。
この流れは循環します。ステップ6で得た反応をもとにステップ1の顧客像を直すことが、新規開拓を改善する基本です。
相手が地域のビジネスなら、最も早い出発点はGoogleマップです。飲食店、クリニック、美容室、工務店、整骨院などは、店舗名、住所、電話番号、多くの場合ホームページ付きで掲載されており、地図そのものが市場の一覧表として使えます。
課題はメールアドレスです。Googleマップには店舗のメールアドレスが載っていません。Vonselは、Googleマップで検索して「Start」を押すと、地図を探索しながら検索結果の店舗を集めます。続いて、アクセスできる店舗サイトを調べ、公開されているメールアドレス、追加の電話番号、最大118種類の対応SNSやプラットフォームへのリンクを探します。取得できる情報は、各サイトが公開している内容によります。集めた店舗はステージ別に地図上で管理でき、カンバン、カレンダー、メモ、アクション、タグ、カスタム項目も使えます。
実際の操作を先に見たい場合は、動画チュートリアルを見るのが近道です。手順の詳細はGoogleマップのデータで見込み客を探す方法にまとめています。抽出は毎月200件の店舗まで無料で、ロック解除、AI、エクスポートの範囲はプランで変わるため、大きな案件の前に料金ページを確認してください。
万能な手段はなく、相手が実際に反応する手段が向いています。多くの現場では、1つの流れの中で2つか3つを組み合わせます。メールを読まない店主でも、電話には出ることがあるためです。
| 手段 | 向いている場面 | 必要なもの | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 営業メール | 多くの相手に低コストで連絡したいとき | 確認済みのリストと、相手に合わせた1文 | 不達、迷惑メール扱い、特定電子メール法 |
| 電話(テレアポ) | 電話の対応が中心の店舗や、早く返事がほしいとき | 正確な電話番号と短いトーク | 受付での断り、相手の時間への配慮 |
| 訪問・飛び込み | 近隣の店舗や、顔を合わせて信頼を得たいとき | 訪問ルートと、立ち寄る理由 | 移動時間、相手の営業時間帯 |
| 紹介・名刺交換 | 既存の人脈から信頼を引き継ぎたいとき | 紹介者との関係と、依頼の仕方 | 件数を増やしにくい |
電話や訪問の使い分けは、それぞれコールドコール、訪問販売アプリの記事で詳しく扱っています。メールの書き方はコールドメールの基本を参照してください。
メールには特定電子メール法、電話には特定商取引法、連絡先の扱いには個人情報保護法が関わります。BtoBだからといって規制がないわけではなく、手段ごとにルールが違います。以下は一般的な情報であり、法的助言ではありません。
| 手段 | 関わる主な法令 | 押さえたい点 |
|---|---|---|
| 営業メール | 特定電子メール法 | 原則オプトイン。公表アドレスなどの例外があるが、拒否の表示や受信拒否の通知があれば送れない |
| 電話(テレアポ) | 特定商取引法(電話勧誘販売) | 氏名等の明示と、断った相手への再勧誘の禁止。営業のための契約は適用除外 |
| 名刺・リストの管理 | 個人情報保護法 | 名刺交換で得た連絡先への広告は、利用目的が明らかな場合に当たると整理されている |
広告・宣伝を目的とするメールは、原則として、あらかじめ同意した相手にだけ送るオプトインが必要です。総務省・消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」は、例外として、名刺などで自己のメールアドレスを通知した相手、取引関係にある相手、そして自己のメールアドレスを公表している団体または営業を営む個人を挙げています。
法人向けの新規開拓でよく問題になるのが、最後の例外です。同ガイドラインによると、ホームページでアドレスを公開していても、同じ場所に広告・宣伝メールの送信を断る旨が併記されている場合は、公表に当たりません。また、受信拒否の通知を受けた相手には、その意思に反して送ってはいけません。送信者の氏名または名称や、受信拒否の連絡先の表示も必要です。
消費者庁の特定商取引法ガイドによると、電話勧誘販売では、勧誘に先立って、事業者の氏名(名称)、勧誘を行う者の氏名、商品の種類、契約の勧誘が目的であることを告げなければなりません。契約を締結しない意思を示した相手への勧誘の継続や再勧誘は禁止されています。一方、営業のため、または営業として締結する契約は、適用除外のひとつとして挙げられています。法人向けの電話でも、最初に名乗って目的を伝え、断られたらそこで止めるのが安全です。
個人情報保護委員会のFAQ(名刺交換により取得した連絡先への広告宣伝について)は、従業者であることを明らかにして名刺を交換した場合、相手はその所属先から広告宣伝のための冊子やメールが送られることをある程度予測できるため、利用目的が明らかな場合に当たると整理しています。同時に、広告メールを送る際は、個人情報保護法に加えて特定電子メール法などの他の法令も守る必要があるとしています。BtoBとBtoCの違いは、B2BデータとB2Cデータの法的な違いで整理しています。
最初の1週間から次の5つを記録し、自分の過去の数字と比べます。業界や提案内容によって水準が大きく違うので、世間の平均値は目安になりません。「良い数字」を1つに決めることもできません。
| 指標 | 計算の考え方 | 分かること |
|---|---|---|
| 連絡先の正確さ | 届いたメール・つながった電話の数 ÷ 試した連絡先の数 | リストの質 |
| 返信率 | 返信の数 ÷ 届いたメッセージの数 | 文面が相手に合っているか |
| 商談化率 | 設定できた商談の数 ÷ 連絡した相手の数 | 提案とタイミングが合っているか |
| 受注につながる割合 | 案件化した数 ÷ 実施した商談の数 | 狙う相手が正しいか |
| 商談1件あたりの時間 | 新規開拓にかけた時間 ÷ 設定した商談の数 | 進め方が効率的か |
これらを1か所に記録すると、週ごとの比較が簡単になります。ステージ管理とメモのあるCRMなら、日々の入力だけで集計できます。
新規開拓の失敗の多くは、準備不足から起こります。次の5つは、事前に防げます。
現実的な最初の1か月は、1つの地域の1つの業種に絞り、1週間ごとに1つの作業へ集中することです。以下は一例であり、成果を約束するものではありません。
より大きな計画は、BtoBで顧客を獲得する方法にまとめています。
この記事で参照した外部資料と、それぞれが裏付ける内容です。